駅近くの17坪程度の小さな和食店の計画。オーナーからの希望で「来客者のための台所」とコンセプトが提示された。 そこで私たちは、単なる装飾で「台所」を演出するのではなく、誰しもが自然と懐かしさの感じられる台所感や、記憶に残っている昔ながらの「台所」という安心感を 五感で感じれるような空間を提案しました。また来客者一人一人がコミュニケーションを楽しめるように、厨房を取り囲む堀ゴタツカウンターを「和→輪」というカ タチとすることで、小店舗ならではのカウンター越しの距離感を確保した。
母親が野菜を切る時のような昔懐かしいまな板の音、 新鮮な食材が火にかけられる時の香り、厨房をぐるりと囲む来客者の視線の先で程よい緊張感と和やかさに囲 まれて手際よく調理する店主やスタッフ、その調和から生まれる全てが、この和食店が人々を魅了する、感性的で、懐かしい日本の台所という商空間につくり上げたと思われる。